わくわく育児ハック

発達系のOT(作業療法士)として、父親として、子育ての悩み、気になる情報について、自分の好きなことについても発信していく予定です

育児ハック【他の子を叩く】

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育児ハック【他の子を叩く】

「突然他のお友達を叩いてしまうんです!叩かれた子はなにもしていなかったのに。。。」と、訓練中にお母さんからお話をいただいたことがあります。

 

療育施設に通っているお子さんに限らず、一般園に通うお子さんでも、突然お友達を叩いてしまったり、押してしまうことってありますよね。お母さんとしては、突然のことで、なぜそういった行動をとってしまうのか理解できない時も多いのではないでしょうか。

 

お子さんが、他のお友達を叩いたり、押してしまう原因には、

1.自分の気持ちがうまく相手に伝わらない

2.感覚刺激がほしい

3.関わり方がわからない

4.大人に注目してほしい

5.感覚が敏感

 

など原因が考えられます。

 

それぞれ、もう少し具体的に考えていきましょう!

1.自分の気持ちがうまく相手に伝わらない

表現することが苦手なお子さん

どのお子さんにも、自分のやりたいこと、伝えたいことというのはあるものだと思います。

しかし、お子さんの中には、ことばの発達がゆっくりなお子さん、表現をすることが苦手なお子さん、どう表現したら良いのかわからなくなってしまうお子さんもいます。

 

そういったお子さんの場合には、やはり自分の気持ちを適切に伝えることが苦手なことが多く、その伝わらない状態が続くことで、イライラがつのり、結果として、お友達を押してしまう、叩いてしまうといった行動にでてしまうお子さんもいるようです。

大人が橋渡しをすることで解決することも

適切に伝えることができないことが原因だとして、伝え方を教えればすぐに解決するということでもありません。

その子の発達のペース、とらえ方に合わせて対応をしていく必要があると思います。

 

ただ、そのまま放っておいてもできるようになるわけでもないので、お子さん同士で解決するように促すのではなく、間に大人(お父さん、お母さん、療育者、先生など)が入り、その子がどういった気持ちでいるのかを、相手のお子さんに伝え、本人にも、都度、適切なことば、あるいはジェスチャーなど、ことばに代わる方法を教えてあげるほうが良いですね。

 

2.感覚刺激がほしい

からだに刺激をほしがるお子さん

いろいろなお子さんを見ていると、貧乏ゆすりをしている、爪をかんでいる、指しゃぶりをしている、歯ぎしりをしている、タオルをかんでいるなど、お子さんに限らず、自分たちでも思い当たる行動はあるのではないでしょうか。

 

こういった行動は、緊張している時、不安な時、なにもやることがない時など、からだに刺激をいれることで、気持ちを落ち着けることにも役立っているんです。

 

そういったことを踏まえると、単純に、自分の好きな刺激をからだにいれたくなったタイミングで、たまたま近くにお友達や大人がいたから、その人たちを、叩く、押すことで刺激をいれるようにしているお子さんも中にはいます。

こういったお子さんは、本人も無意識にやっていることが多いため、注意をしてもなかなか改善しないことが多いようです。

事前に刺激で満たしておく

刺激が足りていない状態では、同じような行動を繰り返してしまうため、先に刺激をいれ、満たしておくことがオススメです。

具体的には、療育の時間の前に、トランポリンやブランコ、からだにぎゅっとチカラが入るような遊び、マッサージなどで必要な刺激を先に取り込んでから、療育へ向かうのも良いかと思います。

ただ、刺激を取り込んでから、落ち着いていれる時間は限られているため、こまめに刺激をいれていくほうが良いです。

継続的に続けることで、多くの刺激をいれなくても大丈夫になるお子さんもいるため、少しずつ続けていけると良いですね。

3.関わり方がわからない

良い関わり方、表現するタイミング、適切なことばかけがわからないお子さん

ことばの発達はさほど他のお子さんと変わりがないのに、お友達と上手に関われないお子さんがいます。

みなさんがイメージしているような、いわゆる「良い関わり方・対応」について、同じようなイメージを持てていないお子さんもいます。

あるいは、その場の様子、雰囲気を読み取ることが苦手なお子さんや、自分の言っていることばの意味、影響力を知らないまま使っているお子さんがいます。

 

そういったお子さんは、お友達とやりとりをしいていても、良い関わりのイメージがついていなかったり、どのタイミングで、どういったことばを使うことが一番良いのか、なかなかつかめないお子さんもいるようです。

 

大人の橋渡し、一緒に関わり方を教える

1.の「自分の気持ちがうまく相手に伝わらない」でもお伝えしましたが、ここでも、大人の橋渡しは大切な対応だと思います。

適切な関わり方を教えていく中で、パターン的でも良いので、上手に関われるタイミングやことばかけを学んでいけるようにすると良いですね。

そうしていくことで、イメージがうまく持てていなかったとしても、「知識」として良い行動を蓄えていってもらえると、お子さんが失敗体験をせずに自信をためていけるようになるのではないかと思います。

4.大人に注目してほしい

自分のことを見てほしくて、間違った行動をしているお子さん

もともと、周囲の人に興味が薄いお子さんの中で、成長とともに、周囲にいる大人や子どもに興味がでてくるお子さんがいます。

そういったお子さんの中には、自分のほうを向いて欲しい、反応をして欲しいがゆえに、大人や子どもを叩いてしまうお子さんもいます。子ども目線でみてみると、相手を叩いたり、押したりすることで、大きな反応がでることが原因であると考えられます。

 

実際に、自分の行動を思い浮かべてもらうとイメージがつきやすいと思いますが、相手から叩かれたり、押されたりすると、イライラして怒りますよね?人は怒っている時には、相手に注目していますし、大きな声で怒る人多いですよね。反対に、良いことをしてもらった時には、「わ~すご~い!ありがとう!!」「最高だよ~!」など大きな反応をする人は少なく、以外と、軽く「ありがとね。」で終わってしまうことも多いです。

 

では、子どもからしたら、反応が大きい方と小さい方、どちらが嬉しいですか?

 

答えは明確で、反応が大きい方が嬉しいですよね?

こういったお子さんからしたら、「悪いことをしている」といった考えは薄く、どうしたら、相手に気づいてもらえる、反応してもらえるかが重要なんです。だから、叩く、押すといった行動をするお子さんもいるんです。

 

注目のタイミングが大切

こういったお子さんの場合には、「ABA(応用行動分析)」といった考え方で行動を考え、適切な行動がでてくるように関わることが大切であると思います。

 

対応としては、「やって欲しくない行動には反応しないで、やって欲し行動がでた時に、大げさに褒める」といった対応が良いです。簡単に言うと、叩いたり、押している時には無視して、困った行動をしていない時に褒める、こちらして欲しい行動をしてくれた時に褒めるといった具合です。ポイントは、「大げさに褒める」ですよ!

 

なかなか大げさに褒めることは難しいことだと思いますが、意識してやっていくことで、徐々に無意識でも上手に褒めることができるようになってきますよ!

5.感覚が敏感

近くに人がいると嫌な気分になるお子さん

お子さんの中には、触られる、近づかれると嫌な気分になるお子さんがいます。

原因として、触覚(触る、触られる感覚)に敏感さ(過敏さ)があることで、過度に反応してしまい、嫌な感覚を避けるために、防衛的に相手を叩く、押すといった行動をとるお子さんもいるんです。

 

受け入れられるからだ作り

嫌な感覚を受け入れることには長い時間がかかるものですし、どうしても受け入れられないこともあるかと思います。その点については、人それぞれ、違いがあると思いますが、徐々に感覚を上手に受け取れるようにしていく対応をすることで、過敏さが軽減するお子さんもいます。

 

対応として、触っている部分に注目をしてもらう、触り方の工夫、嫌な感覚と一緒に他の感覚がからだに入るようにして、嫌な感覚への注目を薄め、少しずつ苦手な感覚を受け入れられるようにしていく対応が良いかと思います。

 

より具体的な対応方法については「感覚統合理論(かんかくとうごうりろん)」といった理論を用いた対応が良いと思います。僕自身もこの考え方は日々のリハビリの参考にさせてもらっています。ぜひ、チェックしてみてください。

まとめ

お友達のことを叩いたり、押したりしてしまう行動一つとっても、様々な原因が考えられましたね!(きっと他にもたくさんあると思いますが。。。)

 

お子さんの行動に対して、すぐに適切な対応をしてあげることができないことも多いかと思いますが、今回のように、いろいろな可能性を考えて、一生懸命お子さんに関わってあげることが一番良いことだと思います。

 

お子さんが他のお子さんを叩いてしまったり、押してしまうことがあったら、すぐに叱りつけるのではなく、どうしてそういった行動をとらなくれはいけなかったのだろうと、一度立ち止まって考えてみるのも良いのではないでしょうか。(*実際に、他のお子さんに危害が加わっている場合には、まずケガなどがないようにお子さん同士を離してからにしてください。)

 

 

 

 

 

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